WordPressで使っているPHPをバージョンアップすると、表示速度の高速化やセキュリティ強化が期待できます。しかし、WordPressの使用環境によっては、PHPのバージョン変更により不具合が出るかもしれません。この記事では、より安全にPHPのバージョンアップをするための手順をご紹介します。
WordPressとPHP
WordPress本体、テーマ、プラグインは、それぞれPHPというプログラムによって動作します。
そのため、WordPressを設置(インストール)するサーバーは、PHPが利用できることが必須です。
PHPのバージョン
PHPは、
- 処理速度の高速化
- セキュリティの強化
- エラー・不具合の修正
などを目的にして、定期的にバージョンアップが実施されています。つまり、WordPressで使っているPHPをバージョンアップすれば、表示速度の高速化やセキュリティの強化が期待できます。
WordPressの公式ページでは、2021年2月時点でPHP バージョン 7.4 以上を使用することを推奨しています。

WordPressのPHPバージョンを変更するには?
WordPressで使用するPHPのバージョンは、サーバーの管理画面で変更できます(WordPressの管理画面ではありません!)。PHPバージョンの切り替えは簡単なクリック操作で完了するのですが、バージョンを変更する際には注意が必要です。
なぜなら、推奨されているPHPバージョンに変更したとしても、テーマやプラグインが対応できるとは限らず、不具合が生じる可能性があるからです。
そこでこの記事では、より安全にPHPのバージョンアップを行う手順をくわしく説明します。
PHPを安全にバージョンアップする手順
以前は「PHP Compatibility Checker」というプラグインを使って、PHPバージョンアップによる不具合が出ないかを簡単にテストできていました。
しかし、ここ2年ほどプラグインがアップデート(更新)されていないためPHP 7.3までしか対応しておらず、推奨バージョン(7.4以上)でのテストができません。

他のWebサイトでもよく紹介されている人気のプラグインですが、アップデートされるまでは使用を見送ったほうがいいです。
以下の手順でPHPのバージョンを変更してみましょう。
- PHPバージョン変更が必要か確認する
- テスト環境で不具合がないか確認する
- WordPressのバックアップをとる
- WordPress本体、テーマ、プラグインを更新する
- PHPをバージョンアップする
- WordPressの動作を確認する
1.PHPバージョン変更が必要か確認する
PHPのバージョンを変更する必要があるかどうかを知るため、以下の2つを確認します。
- WordPressで使っているPHPバージョン
- サーバーが提供しているPHPバージョン
※すでに確認ができている場合は、次のステップに進んでください。
あなたが現在WordPressで使っているPHPのバージョンは、WordPress管理画面の「サイトヘルス」でチェックできます。
管理画面メニュー[ツール]→[サイトヘルス]をクリックします。
![管理画面メニュー[ツール]→[サイトヘルス]をクリック](https://wp-exp.com/wordpress/wp-content/uploads/wordpress-menu-tools-site-health.png)
「サイトが古いバージョンのPHPを実行しています」と表示される場合は、PHPのバージョンアップを検討する必要があります。

サイトヘルスは、WordPress 5.2以降で利用できる機能です。もしサイトヘルスが表示されない場合は、WordPress本体のバージョンが古い可能性があります。セキュリティー面で危険ですので、早急にアップデートすることをおすすめします。
>>WordPressをアップデート(更新)する
PHPバージョンアップの必要性が確認できても、サーバー側がそのバージョンを提供していなければ実行することができません。
利用できるPHPのバージョンは、レンタルサーバーによって異なります。最新の情報は、ご利用のレンタルサーバー管理画面等でご確認ください。
2.テスト環境で不具合がないか確認する
PHPの新しいバージョンが利用できるからといって、すぐにバージョンアップをしてしまうと、テーマやプラグインの対応状況によっては不具合が生じる可能性があります。
そこで、まずはテスト環境を用意します。テスト環境の作り方はいくつかありますが、今回はローカル(パソコンの中)にテスト環境を構築してみましょう。
- 専用ツールをパソコンにインストールし、テスト用サイトを作成する
- WordPressサイトを複製する
- PHPバージョンを変更し、不具合がないか確認する
2-1.専用ツールをパソコンにインストールし、テスト用サイトを作成する
ローカル環境にWordPressを構築するためのツールでおすすめなのが、「Local」です。無料でダウンロードでき、簡単な操作でインストールできます。くわしい使い方は、下記ページをご覧ください。
2-2.WordPressサイトを複製する
WordPressのサイトを複製するには、「All-in-One WP Migration」プラグインが便利です。
「All-in-One WP Migration」プラグインを、
- 本番環境(サーバーにインストールしているWordPress)
- テスト環境(パソコンにインストールしているWordPress)
それぞれにインストールします。

本番環境のWordPress管理画面[All-in-One WP Migration]→[エクスポート]をクリックし、サイトのデータをエクスポートします。

テスト環境のWordPress管理画面[All-in-One WP Migration]→[インポート]をクリックし、前の手順でエクスポートしたデータをインポートします。

2-3.PHPバージョンを変更し、不具合がないか確認する
以下の手順で、テスト環境のPHPバージョンを変更します。
「Local」のコントロールパネルでPHPバージョンを選択し、[APPLY]をクリックします。

下のボタンをクリックすると、PHPのバージョンを変更できます。

テストサイトに不具合がないか、以下の項目をチェックしてみましょう。
- WordPressにログインできるか
- ブログが正常に表示されるか
- 記事の編集ができるか
- コメントが投稿できるか(コメント機能を利用している場合)
- 問い合わせフォームから送信できるか(問い合わせフォームを設置している場合)
不具合がなければ、次のステップに進んでください。
- プラグインをすべて無効化し、1つずつ有効化する
- テーマを変更する
などによって原因となるプラグイン/テーマを特定し、代替のものを探す、削除するなど対応してください。
3.WordPressのバックアップをとる

本番環境のPHPバージョンアップの前に、万が一に備えてWordPressのバックアップをとっておきましょう。バックアップ方法がわからない場合は、下記ページを参考にしてください。バックアップだけでなく復元も簡単にできるプラグインをご紹介しています。
4.WordPress本体、テーマ、プラグインを更新する

WordPress本体、テーマ、プラグインのアップデートが利用できる場合は更新しておきましょう。更新方法がわからない場合は、下記ページを参考にしてください。
5.PHPをバージョンアップする
WordPressをインストールしているレンタルサーバーの管理画面にログインし、PHPのバージョンを変更します。

6.WordPressの動作を確認する
WordPressに不具合が生じていないか、以下の項目をチェックしてみましょう。
- WordPressにログインできるか
- ブログが正常に表示されるか
- 記事の編集ができるか
- コメントが投稿できるか(コメント機能を利用している場合)
- 問い合わせフォームから送信できるか(問い合わせフォームを設置している場合)
以下の手順をお試しください。
- PHPのバージョンを元に戻す
- WordPressにログインして、プラグインをすべて無効化する
- PHPのバージョンを再び変更する
- WordPressにログインできたら、プラグインを1つずつ有効化する
不具合の原因となるプラグインを特定できたら、代わりを探す、削除するなど対応してください。プラグインによる影響が確認できなければ、テーマについても同様にチェックしてください。
まとめ
WordPressの高速化やセキュリティー強化のためには、PHPのバージョンアップが有効です。しかし、利用しているテーマやプラグインによっては、PHPのバージョン変更により不具合が発生するかもしれません。
トラブルを未然に防ぐための方法として、以下の手順をご紹介しました。
- PHPバージョン変更が必要か確認する
- テスト環境で不具合がないか確認する
- WordPressのバックアップをとる
- WordPress本体、テーマ、プラグインを更新する
- PHPをバージョンアップする
- WordPressの動作を確認する
参考にしていただければ嬉しいです。