WordPressで使っているPHPをバージョンアップすると、表示速度の高速化やセキュリティ強化が期待できます。しかし、WordPressの使用環境によっては、PHPのバージョン変更によって不具合が発生するかもしれません。この記事では、より安全にPHPのバージョンアップをするための手順をご紹介します。
WordPressとPHP
WordPressの本体、テーマ、プラグインは、それぞれPHPというプログラムによって動作します。
そのため、WordPressをインストールするサーバーは、PHPが利用できることが必須です。
PHPのバージョン
PHPは、
- 処理速度の高速化
- セキュリティの強化
- エラー・不具合の修正
などを目的にして、定期的にバージョンアップが実施されています。つまり、WordPressで使っているPHPをバージョンアップすれば、表示速度の高速化やセキュリティの強化が期待できます。
WordPressの公式ページでは、2022年7月時点でPHP バージョン 7.4 以上を使用することを推奨しています。

WordPressのPHPバージョンを変更するには?
WordPressで使用するPHPのバージョンは、サーバーの管理画面で変更できます(WordPressの管理画面ではありません!)。
PHPバージョンの切り替えは簡単なクリック操作で完了するのですが、バージョンを変更する際には注意が必要です。なぜなら、推奨されているPHPバージョンに変更したとしても、テーマやプラグインが対応できるとは限らず、不具合が発生する可能性があるからです。
そこでこの記事では、より安全にPHPのバージョンアップを行う手順を詳しく説明します。
PHPを安全にバージョンアップする手順
PHPバージョンの互換性チェックができるプラグイン
以前は「PHP Compatibility Checker」というプラグインを使って、PHPバージョンアップによる不具合が出ないかを簡単にテストできていました。
しかし、最近はプラグインのアップデートが滞りがちで、チェックできるPHP バージョンは7.3までしか対応していません。つまり、WordPress公式サイトが推奨するバージョン(7.4以上)でのテストができない状況です。

他のサイトでよく紹介されている人気のプラグインですが、アップデートされるまでは使用を見送ったほうがいいです。
2023年3月時点で、まだアップデートは実施されていません。
以下の手順でPHPのバージョンを変更してみましょう。
安全にPHPバージョンを変更する手順
- PHPバージョン変更が必要か確認する
- テスト環境で不具合がないか確認する
- WordPressのバックアップをとる
- WordPress本体、テーマ、プラグインを更新する
- PHPをバージョンアップする
- WordPressの動作を確認する
1.PHPバージョン変更が必要か確認する
PHPのバージョンを変更する必要があるかどうかを知るため、以下の2つを確認します。
- いま使っているPHPバージョンを確認する
- レンタルサーバーで利用できるPHPバージョンを確認する
いま使っているPHPバージョンを確認する
WordPressで使っているPHPのバージョンは、WordPress管理画面の「サイトヘルス」でチェックできます。
サイトヘルスを開くには、管理画面メニュー[ツール]>[サイトヘルス]をクリックします。
![管理画面メニュー[ツール]>[サイトヘルス]をクリック](https://wp-exp.com/wordpress/wp-content/uploads/wp-menu-site-health.webp)
「サイトがPHPの古いバージョンを実行しており、更新をおすすめします」と表示される場合は、PHPのバージョンアップを検討する必要があります。

サイトヘルスを表示できない場合は要注意
サイトヘルスは、WordPress 5.2以降で利用できる機能です。もしサイトヘルスが表示されない場合は、WordPress本体のバージョンが古い可能性があります。セキュリティの危険性が高いため、早急にアップデートすることをおすすめします。
レンタルサーバーで利用できるPHPバージョンを確認する
PHPバージョン変更の必要性が確認できても、レンタルサーバーでそのバージョンが利用できなければ、バージョン変更をすることができません。
利用できるPHPのバージョンは、レンタルサーバーによって異なります。最新の情報は、ご利用のレンタルサーバー管理画面等でご確認ください。
2.テスト環境で不具合がないか確認する
PHPのバージョンを変更すると、テーマやプラグインの対応状況によっては、不具合が発生する可能性があります。
不具合を避けるために、テスト環境を用意しましょう。方法はいくつかありますが、今回はローカル(パソコンの中)にテスト環境を構築してみます。
ローカル環境でテストする手順
- 専用ツールをパソコンにインストールし、テスト用サイトを作成する
- WordPressサイトを複製する
- PHPバージョンを変更し、不具合がないか確認する
2-1.専用ツールをパソコンにインストールし、テスト用サイトを作成する
ローカル環境にWordPressを構築するためのツールでおすすめなのが「Local」です。無料でダウンロードでき、簡単な操作でインストールできます。詳しい使い方は、下記ページをご覧ください。
2-2.WordPressサイトを複製する
WordPressのサイトを複製するには、「All-in-One WP Migration」プラグインが便利です。

「All-in-One WP Migration」プラグインを、以下にインストールします。
- 本番環境(サーバーにインストールしているWordPress)
- テスト環境(パソコンにインストールしているWordPress)
本番環境のWordPress管理画面[All-in-One WP Migration]>[エクスポート]をクリックし、サイトのデータをエクスポートします。
![[All-in-One WP Migration]>[エクスポート]をクリック](https://wp-exp.com/wordpress/wp-content/uploads/all-in-one-wp-migration-export.webp)
テスト環境のWordPress管理画面[All-in-One WP Migration]>[インポート]をクリックし、前の手順でエクスポートしたデータをインポートします。
![[All-in-One WP Migration]>[エクスポート]をクリック](https://wp-exp.com/wordpress/wp-content/uploads/all-in-one-wp-migration-import.webp)
2-3.PHPバージョンを変更し、不具合がないか確認する
以下の手順で、テスト環境のPHPバージョンを変更します。
「Local」のコントロールパネルでPHPバージョンを選択し、[APPLY]をクリックします。

[Apply Changes]ボタンをクリックすると、PHPのバージョンを変更できます。
![[Apply Changes]ボタンをクリック](https://wp-exp.com/wordpress/wp-content/uploads/local-control-panel-update-php-2.webp)
テストサイトに不具合がないか、以下の項目をチェックしてみましょう。
- WordPressにログインできるか
- ブログが正常に表示されるか
- 記事の編集ができるか
- コメントが投稿できるか(コメント機能を利用している場合)
- 問い合わせフォームから送信できるか(問い合わせフォームを設置している場合)
不具合がなければ、次のステップに進んでください。
不具合が見つかった場合
- プラグインをすべて無効化し、1つずつ有効化する
- テーマを変更する
などによって原因となるプラグイン/テーマを特定し、代替のものを探す、削除するなど対応してください。
3.WordPressのバックアップをとる
万が一に備えて、本番環境でWordPressのバックアップをとっておきましょう。バックアップ方法がわからない場合は、下記ページを参考にしてください。バックアップだけでなく、復元も簡単にできるプラグインをご紹介しています。
4.WordPress本体、テーマ、プラグインを更新する
WordPress本体、テーマ、プラグインのアップデートが利用できる場合は更新しておきましょう。

更新方法がわからない場合は、下記ページを参考にしてください。
更新後、サイトに不具合が発生していないかチェックし、再びバックアップをとりましょう。
5.PHPをバージョンアップする
WordPressをインストールしているレンタルサーバーの管理画面にログインし、PHPのバージョンを変更します。
主なレンタルサーバーのPHPバージョン変更方法
※上記3社は、おすすめレンタルサーバーの記事で詳しく紹介しています。

6.WordPressの動作を確認する
WordPressに不具合が発生していないか、以下の項目をチェックしてみましょう。
- WordPressにログインできるか
- ブログが正常に表示されるか
- 記事の編集ができるか
- コメントが投稿できるか(コメント機能を利用している場合)
- 問い合わせフォームから送信できるか(問い合わせフォームを設置している場合)
不具合が見つかった場合
以下の手順をお試しください。
- PHPのバージョンを元に戻す
- WordPressにログインして、プラグインをすべて無効化する
- PHPのバージョンを再び変更する
- WordPressにログインできたら、プラグインを1つずつ有効化する
不具合の原因となるプラグインを特定できたら、代わりを探す、削除するなど対応してください。プラグインによる影響が確認できなければ、テーマについても同様にチェックしてください。
まとめ
WordPressの高速化やセキュリティー強化のためには、PHPのバージョンアップが有効です。しかし、利用しているテーマやプラグインによっては、PHPのバージョン変更により不具合が発生するかもしれません。
トラブルを未然に防ぐための方法として、以下の手順をご紹介しました。