WordPressのアップデート(更新)について解説します。WordPress本体は自動的に更新される仕様となっていますが、不具合発生のリスクが高い「メジャーアップデート」は手動で実行するのがおすすめです。
この記事の内容
- WordPressのバージョンアップで何が行われるのか?
- 「メジャーアップデート」と「マイナーアップデート」の違いとは?
- 自動更新を解除する方法
- WordPressを安全にアップデートする手順
- アップデート後に発生する不具合の解決法
WordPressのバージョン
バージョンは、ソフトウェアが改訂・更新された回数を識別するための数字です。
WordPressの場合、バージョンは小数点を含む2桁または3桁の数字で表記されます。
WordPressのバージョン一覧は、下記公式ページで確認できます。
WordPressのバージョンを確認する方法
いま利用しているWordPressのバージョンは、ダッシュボードの「概要」ボックスや画面右下で確認できます。

新しいバージョンが公開される4つの理由
WordPressがバージョンアップされる理由はバージョンによって異なり、大きく分けると次の4つのいずれかが該当します。
- 新しい機能の追加
- バグ(プログラムの不具合)の修正
- 脆弱性(セキュリティ上の欠陥)の改善
- パフォーマンスの改善
現在使用しているバージョンで追加・改善された内容を確認する方法
管理画面左上のWordPressアイコンをクリックしてください。

WordPressのアップデート(更新)
システムを最新の状態にすることを、アップデート(更新)といいます。
ここでは、WordPressのアップデートに関する基礎知識として、以下の3つについて説明します。
メジャーアップデートとマイナーアップデートの違い
WordPress本体のアップデートには、次の2つがあります。どちらに該当するのかは、バージョンの数値で見分けることができます。
- メジャーアップデート(例:「5.9.2 ⇨ 6.0」「5.8.3 ⇨ 5.9」)
- マイナーアップデート(例:「6.0.1 ⇨ 6.0.2」「6.0 ⇨ 6.0.1」)
メジャーアップデート
メジャーアップデートは規模が大きいアップデートです。
特に新しい機能の追加や大規模な改修が実施されることが多いです。
たとえば、2018年に実施された WordPress 5.0へのメジャーアップデートでは「ブロックエディタ」機能が追加され、記事の編集方法が大幅に変更されました。
余談になりますが、WordPressの解説本を購入するときは、少なくともWordPress5.0以降に対応する本を選ぶことをおすすめします。
マイナーアップデート
マイナーアップデートは規模の小さいアップデートです。
細かいバグの修正や脆弱性の改善は、マイナーアップデートで実施されることが多いです。
WordPressをアップデートするメリット・デメリット
「新しいバージョンが公開される4つの理由」と重なりますが、アップデートのメリットは次の4つです。
- 新しい機能が使える
- 不具合が改善される
- セキュリティが向上する
- パフォーマンスが向上する
※ どのメリットがあるのかは、バージョンによって異なります。
しかし、アップデートにはデメリットもあります。
アップデートはWordPressに含まれるプログラムの変更を伴うため、実行後にエラーが発生したり、サイトが壊れてしまったりする可能性があります。
また、このようなリスクを回避できるよう安全にアップデートを実行するには多くの手順が必要になるため、手間がかかります。
- 不具合が発生する可能性がある
- 安全に実行するには手間がかかる
このようなデメリットがあるとは言え、古いバージョンのまま放置することは絶対NGです。WordPressでは、サイトを最新かつ安全に保つため、自動更新の機能が実装されています。
WordPressの自動更新
WordPress 3.7 から、WordPressの自動更新が標準機能となりました。
以前の自動更新の対象は、メンテナンスやセキュリティ向上を目的とした「マイナーアップデート」のみでした。
その後、WordPress 5.6 からは「メジャーアップデート」を含めすべてのアップデートが自動更新されるよう、変更されています。
自動更新の完了を知らせるメールが届きます
自動更新が実施されると、[サイト名]WordPress X.X.X へのサイト更新が完了しました という件名でメールが届きます。完了通知を受信できるのは、管理画面「設定」>「一般」に登録されているメールアドレスです。
メールが届いたら、サイトに不具合が発生していないか、早めに確認しましょう。
メジャーアップデートの自動更新を無効化する方法
規模が大きいメジャーアップデートでは、実行後の不具合発生のリスクがさらに高まります。
メジャーアップデートは、しばらく様子を見てから。
そう考えるユーザーも、少なくないでしょう。そこでWordPressでは、メジャーアップデートの自動更新を簡単に解除できるようになっています。
管理画面の「ダッシュボード」>「更新」をクリックしてWordPressの更新画面を開き、「メンテナンスリリースとセキュリティリリースのみの自動更新に切り替えます。」をクリックしてください。

WordPressの自動更新を完全に無効化する方法
いくら規模が小さいアップデートとはいえ、不具合発生のリスクがあるなら、マイナーアップデートでも自動更新機能を解除したいと思うかもしれません。
下記公式ページで、自動更新を無効化する方法が紹介されています。しかし同時に、自動更新を無効化することを強く非推奨もしています。
自動更新は皆さんのサイトを最新かつ安全に保つための最良の方法のひとつであるため、今後は、これらの更新を無効化することを強く非推奨とします。
自動バックグラウンド更新の設定 – サポートフォーラム – WordPress.org 日本語
さらに、上記ページで紹介されている無効化の方法はプログラムの書き換えが必要なので、初心者向きではありません。
定期的にバックアップを取ろう
自動更新による万が一の事態に備えるため、定期的にバックアップを取ることが大切です。下記ページで紹介しているプラグインを利用すれば、バックアップや復元が簡単にできます。
WordPressをアップデートする手順
メジャーアップデートの自動更新を無効化した場合は、手動でのアップデートが必要です。
不具合発生のリスクを回避しながらアップデートするための手順は、次のとおりです。
WordPressを安全にアップデートする手順
- WordPressのバックアップを取る
- プラグインやテーマをアップデートする
- PHPをアップデートする
- プラグインを停止する
- WordPressをアップデートする
- 停止していたプラグインを有効化する
- 動作確認をする
1. WordPressのバックアップを取る
まずは、不具合に備えてバックアップを取っておきましょう。
バックアップの取り方はいくつかありますが、初心者向けの方法としてはプラグインの使用がおすすめです。下記ページで紹介しているプラグインを使えば、バックアップや復元が簡単にできます。
レンタルサーバーのバックアップ機能も便利
レンタルサーバーによっては、自動バックアップや復元の機能を無料で提供している場合があります。
たとえば、このサイトで使っている「エックスサーバー」なら、過去14日分の自動バックアップデータを保持していて、サーバーパネル(サーバーの管理画面)から簡単に復元できます。
2. プラグインやテーマをアップデートする
プラグインやテーマの新しいバージョンが公開されている場合は、アップデートしておきましょう。
アップデート方法については、下記ページで詳しく解説しています。
3. PHPをアップデートする
PHPはプログラミング言語のひとつで、WordPressの大部分はPHPで構成されています。
PHPにもバージョンがあり、WordPressの公式ページでは推奨されるPHPのバージョンを確認することができます。

WordPressで使っているPHPのバージョンは、管理画面[ツール]>[サイトヘルス]から確認できます。

「サイトがPHPの古いバージョンを実行しており、更新をおすすめします」と表示される場合は、PHPのバージョンアップを検討する必要があります。

PHPのバージョンを変更する方法については、下記ページで詳しく解説しています。
4. プラグインを無効化する
有効化しているプラグインを全て無効化しておきましょう。
理由は、新しいバージョンのWordPressにプラグインが対応していない場合があるからです。
管理画面の「プラグイン」>「インストール済みプラグイン」をクリックしてプラグイン一覧を開きます。

チェックボックスをクリックして、無効化する全てのプラグインを選択します。

「一括操作」のドロップダウンから「無効化」を選択し、「適用」をクリックします。

5. WordPressをアップデートする
ここでようやくWordPress本体のアップデートを行います。
管理画面の「ダッシュボード」>「更新」をクリックしてWordPressの更新画面を開き、「バージョン X-X-X-ja に更新」をクリックします。

6. 無効化していたプラグインを有効化する
無効化していたプラグインを、1つずつ有効化します。
1つずつ行う理由は、有効化した後に不具合が出た場合、原因となったプラグインを特定できるようにするためです。

7. 動作確認をする
WordPressの管理画面やサイトが正常に動作するか、確認しておきましょう。
- 管理画面の各メニューは開けますか?
- サイトのトップページや記事などは正常に見られますか?
- コメントを受け付けている場合、書き込みできますか?
- 問い合わせフォームを設置している場合、正しく送信できますか?
この他にも、テーマやプラグインなどによって機能を追加している場合は、正常に動作するかチェックしてください。
アップデートによる不具合を解決する方法
アップデートによって不具合が発生した場合は、以下の解決法をお試しください。
原因となったプラグインを無効化する
不具合の原因となったプラグインが特定できる場合は、プラグインを無効化することで解決できるかもしれません。
WordPress管理画面が開く場合
管理画面の「プラグイン」>「インストール済みプラグイン」をクリックしてプラグイン一覧を開き、原因となったプラグインの「無効化」をクリックします。

WordPress管理画面が開かない場合
「FTPソフト」やレンタルサーバーの「ファイルマネージャ」機能などを使ってプラグインの保管場所にアクセスし、プラグインの名前を変更することで無効化できます。
ドメイン名>public_html>(サブディレクトリ)>wp-content>plugins

一時的にテーマを変更してみる
プラグインを無効化しても不具合が解消しない場合は、テーマが原因かもしれません。以下の方法で、テーマを変更してみてください。
テーマが原因で不具合が発生したことがわかった場合、その後の対処法としては次の2つが考えられます。
- 新しいテーマに変更する
- アップデート前の状態に復元して、今使っているテーマのバージョンアップを待つ
もしテーマの開発者がなかなかバージョンアップを実施しない場合は、安全にサイトを運営するためにも、新しいテーマに変更しましょう。
WordPress管理画面が開く場合
管理画面の「外観」>「テーマ」をクリックしてテーマ一覧を開き、他のテーマの「有効化」をクリックします。

WordPress管理画面が開かない場合
次の手順をお試しください。
- 有効化中のテーマの名前を変更して、無効化する
- WordPress管理画面にログインする
- 「外観」>「テーマ」を開いて、デフォルトテーマに戻す
「FTPソフト」やレンタルサーバーの「ファイルマネージャ」機能などを使ってテーマの保管場所にアクセスし、テーマの名前を変更することで無効化できます。
ドメイン名>public_html>(サブディレクトリ)>wp-content>themes

管理画面「外観」>「テーマ」をクリックしてテーマ一覧画面を開くと、自動的にデフォルトテーマに戻すことができます。

アップデート前の状態に復元する
不具合の原因が特定できない場合は、WordPressのバージョンを元に戻すことを検討してください。
WordPress管理画面が開く場合
WordPressのバックアップを取るときに「UpdraftPlus」プラグインを使った場合は、管理画面で簡単に復元することができます。

WordPress管理画面が開かない場合
FTPソフトなどを使って復元する方法がありますが、かかる手間や難易度を考えれば初心者向きとは言えません。
使っているレンタルサーバーで、復元機能を提供していないか確認してみてください。
たとえば「エックスサーバー」では、過去14日分の自動バックアップデータが保持されていて、サーバーパネルから簡単な操作で復元することができます。
まとめ
WordPressのアップデートには、新しい機能が使えたり、バグが修正されたりするなどのメリットがあります。一方で、不具合発生のリスクもあります。
特にリスクが大きくなるメジャーアップデートでは、自動更新を解除することができます。ただし、サイトの安全性に関わるマイナーアップデートを無効化することは、推奨されていません。
WordPressを安全にアップデートするには、多くの手順が必要です。とても面倒ですが、ぜひこの記事を参考にしながら、最新のWordPressを使うようにしてください。